ななの日常茶飯事

読書好きの日記&読書記録

水やりはいつも深夜だけど【本の感想】

 

本の紹介

ログに執着し、周囲の反応に怯えながら暮らす主婦。仕事で子育てになかなか参加できず義理の両親に責められる夫。妻がいながら若い女に傾いてしまう男など、それぞれの家族の在り方についての6つの物語

 

本の感想

族とはなんだろうか、私には子供もいなければ結婚もしていない。人は大人になるにつれて孤独になっていく物だと思っている。私自身学校も終わり社会人になり、友達や同僚はグッと減った。家族とも住んでいないので今は一日のほとんどを一人で過ごしている。

結婚も子供もいない私から見た家族というのは、少し息苦しいものに見える。特に結婚後や子供が生まれた後は余計そう見えてしまうのが現状だ。本書で描かれている家族はどれも息苦しさを感じさせる。女と男が恋愛を経て子供が生まれ。その過程で生まれる不満や不安、口に出したら崩壊してしまうような言葉、避けては通れない私たちの親。それらがどうしようもないくらいリアルに描かれている。

 

苦しさを感じるのは親だけではない。本書最後の2つの物語は親ではなく子の主観で書かれている。突然やってきた義母にどう接すればいいかわからない女子高生。自分の病気のせいで祖母に責められる母親を持つ男子校生。子供は親を選べないなんて言葉を耳にすることもあるが、まさにその通り。親は息苦しさを感じていなくても、その陰には大人になるのが早かった子供がいるのかもしれない。

 

うしようもなく居心地が悪くなってしまった家族を救うのは子供だったりする。時に子供の無邪気で真っ直ぐな心は大人を動かす原動力になることをこの本を読んで思い知らされた。

 

こまで書いて、もう一度家族とはなんだろうかと考える。形式上の家族は決まっている。ここでの家族とはなんだろうとは、幸せとは何か に似ているような気がする。

人それぞれ考えが違っていい、しかし同じ方向を向いていないと崩れてしまうのが家族。私はそう思う。私は今後人生で新たな家族を持つかもしれない、そんな時に思い出したい作品だと思った。