ななの日常茶飯事

読書好きの日記&読書記録

豆の上で眠る【本の感想】

 

 

本の紹介

著者 湊かなえ

新潮社

発行 平成29年

 

本の感想

イトルから予想できない衝撃的な内容だった。読み終わってからもう一度表紙を見ると、そういう事だったのかと鳥肌が立ってしまった。

物語は主人公である妹の結衣子の視点で語られる。母の入院を機に久しぶりに帰郷した結衣子だったが、バス乗り場で姉の万佑子ともう一人の女性を見かける。その後実家に帰った結衣子は、小学生の時に起きた「万佑子ちゃん行方不明事件」の真相を確かめるべく、当時の記憶を辿る。

 

み進めて行くにつれて事件当時の事が明らかになっていくのだが、結衣子が記憶を辿るごとに恐怖が積み重なっていく感じがした。父も母も結衣子の味方になってくれるわけではなく、唯一手がかりになるのは祖母が残してくれた段ボール箱。その中にあった祖母が事件当時に書いた一冊のノート。このノートが怖さを加速させてる気がした。

 

大人の私から見た当時の結衣子ちゃんは、母親の奴隷として扱われていたも同然に思える。小学低学年の結衣子ちゃんに犯人探し(変態探し)をさせて、自分は安全圏で指示を出すだけ。この両親はなんて無力なんだろうと思った。その行動のせいで、目の前に居る結衣子ちゃんがトラウマを抱えて生きていく事になってしまった事すら気付かずに。

 

ヤミスに分類されるであろう本書。最後の1ページまで気が抜けない内容で、湊かなえ先生はここまで恐ろしい物語を書くのかと今一度思い知らされた。血のつながりだけで人を判断していいのか。心のつながりを信じるか。

とにかく最後のページまで恐怖の二文字が似合う作品だった。イヤミス気になるって人にはとてもお勧めできる一冊だ。ただ、苦手な人はとことん苦手かも知れない。それくらい読後にモヤモヤが残る作品。

 

ねぇ、あなたは本物?