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殺人出産【本の感想】

 

 

本の紹介

著者 村田沙耶香

講談社

発行 2016年

 

本の感想

10人産んだら1人殺せる殺人出産システムが語られる「殺人出産」 2人カップルではなく3人トリプルという恋愛が主流になっている世界「トリプル」 結婚生活から性行為を排除した夫婦が子孫を残すために新たな取り組みに挑戦する「清潔な結婚」 死が遠い存在になった医療が発達した世界で死に方を決めて自死する「余命」の4つの物語からなる本書。まずこの本を読んで感じたのは、独特な気持ち悪さだ。現実世界では決してあり得ない4つの物語。所々目を背けたくなるような内容があって、終始喉元に込み上げてくるような気持ち悪さが目立った。私が感じたこの気持ち悪さは、本書を否定する様なものではないということを知っておいてほしい。(それが好きで読んでいる人もいるので)

 

子高齢化が進み人口が減少している日本。実際私も子供はいないし、作ろうと思った事すらない。しかし殺人出産システムがあったらどうだろうか?あなたならどうする?安心してほしい。本書の世界では男性も何歳でも人口子宮を取り付けて出産可能だ。それとは別に「死刑」がない世界で、代わりにあるのが「産刑」という最高刑。ここまで聞けばその内容も想像できるであろう。

 

4つの話で一番きつかったのが「トリプル」だ。カップル?そんなの古いよっていう世界。何が気持ち悪いって私たちが思い描くような3人での恋愛ではないこと。2人での性行為は気持ち悪いとされ、トリプルのそれは全くやり方が事なる。これ以上のエグさは読めないなぁと思う様な内容だった。最後のページまで読むと、やっぱりあんた騙されてるんじゃないの?って感想が浮かんだ。世界観がやば過ぎて、真相は書いた本人しか分からなそうだなとも思った。どちらにせよトリプルでの恋愛は絶対に嫌だ。

 

胸糞悪い。後味悪い。そんな優しい言葉ではなく、エグい気持ち悪さという言葉が一番合うであろう一冊。これは人に勧められなそうだけど、私としては読んで良かったし面白かった。個人的には本書の様な極論でもいいじゃん!って本も好きなので、嫌な気持ちになっても読みたい人にはおすすめ。