ななの日常茶飯事

読書好きの日記&読書記録

よるのふくらみ【本の感想】

 

 

本の紹介

著者 窪美澄

新潮文庫

刊行 2014年

 

本の感想

ひろ、圭祐、裕太の3人は商店街で生まれっ育った幼なじみ。みひろと圭祐の話から幕をあける。物語が始まって最初の問題は至ってシンプルだった。いつの間にか、みひろと圭祐の間にセックスというものは無くなっていた。しかしみひろは毎月決まった周期で生理がきて排卵期が来る、そして欲情する。それを自分の中に押し殺していた。ストレートな問題すぎて逆にどう解決していくのか気になる。みひろと圭祐は付き合っている。裕太は圭祐の弟で商店街で不動産屋を営んでいた。

みひろの家と圭祐の家は少し似ているところがあった。お互い両親のどちらかが浮気や家出をしており、それを小さい頃に経験していた。圭祐と裕太は兄弟だが性格が全く違う。長男と次男の差なのかもしれないが、圭祐より裕太の方がうまく立ち回っているようだ。圭祐は少し我慢しすぎな部分はあるのかなと思った。

 

太はみひろのことを気になっていた。それは恋愛的な気になるだ。しかし、裕太の不動産屋にきた一人の女性と男の子によってその気持ちは少しずつ埋められていった。上書きではなく埋めるだと私は思った。裕太自身みひろのことを忘れたわけではないし、何か少しでも力が加わってしまえば気持ちがみひろに傾いてしまいそうだった。

兄弟して同じ人を好きになるなんて結構きついなと思った。現実だったら本当家庭崩壊レベルではないだろうか。私ならきついな。圭祐も裕太もきつかったんだろうとは思うし、みひろもきついと思う。みひろからしたらセックスをしてくれない方がきつかったのだろう。実際これから一緒に半生を過ごしていく相手がしてくれなかったら辛いと思う。大好きなのにそれ以外は完璧なのに、みひろにとって大事なことだけが欠けている。

 

み進めていくと圭祐や裕太の家の問題も明かされていく。圭祐は母似なのだろう、裕太は父似。みひろも母親に似たのかそれとも遺伝子には抗えないのか、鳶の子は鷹にならずとはよく言ったものだ。

終始窪美澄ワールドが展開される作品だった。この生々しさやストレートさこそ、女性に人気な理由だと思う。窪美澄先生の作品はブログに書いているだけでも何冊も読んでいるが、この難しく考えずに読める作風がとても好きだ。