本の紹介
著者 真梨幸子
刊行 2016
本の感想
久しぶりにイヤミスが読みたくなって購入した一冊。真梨幸子先生ワールド全開の作品だった。本書は「私が失敗した理由は」という本に関わる何人もの登場人物たちが織りなす物語。本書のタイトルにもなっている「私が失敗した理由は」それを物語の中で登場させて完成させるまでの物語。この本自体が物語に出てくる本なのだ。
少し読み進めていくと1章の主人公とされる女性が覚醒していく。最初は大人しいが以前から躁鬱病に罹っている当人は躁鬱病を再発してしまう。旦那が言うには元から波が激しかったようだ。それをきっかけに物語が大きく展開していく。ミステリーなので細かな内容は伏せるが、章を追うごとに複雑になっていくと同時に面白みが増していく。1つ展開が変わると一気にどんでん返しが起きて、どんどん続きが読みたくなる1冊だった。
本書で面白びっくりしたのが、真梨幸子という名前の小説家が登場すること。そして著者の本も出てくる。作者本人が物語の中に登場するのは、読者としても嬉しいし面白くてワクワクする。しかもちょい役ではなくてラストにかけても出てきたので笑ってしまった。王道の展開の中に遊び心があって、読んでいて飽きずに最後まで読めた。ミステリー系の登場人物の名前が覚えられないのは私の悪いところなので、今後も著者の本をはじめ沢山ミステリーを読んで改善できたらなと思った。