ななの日常茶飯事

読書好きの日記&読書記録

もういちど生まれる【本の感想】

 

 

本の紹介

著者 朝井リョウ

幻冬舎文庫

発行 平成26年

 

本の感想

本書は5つの章からなり、読み進めていくたびに少しずつ各章が繋がっていく。どの章も大学生や浪人生など20歳前後の人物が主人公になっている。

とにかく若い、それに尽きる。大学生活を思いっきり楽しみたい人や、好きな人と少し会うだけでテンションが上がってしまったり、恋愛と友情を同じベクトルで見てしまったりと。今の私には確実に無いであろう選択肢をしていく登場人物を見ていると、私もだいぶ世間に揉まれてしまったんだなぁと感じさせられる。

逆に「それは違うんじゃない?」と思ったところもかなりあったのも事実だ。大人と子供の中間のような存在の大学生。中には大人だなぁと思う人も出てきたが、ほとんどが少し後悔しそうな選択をしてしまっている感じがした。読んでいてイラッとする人も多いと思う。私はそっち方向に感情が持っていかれた場面が多かった。

 

本書を読み終えて言えることは、想いは心に留めずに口に出さないとダメだということ。人間はいろんな方法で相手に物事を伝えることができるけれど、やはり言葉として口に出したほうがきちんと伝わると思う。ある程度自由が得られるようになった大学生だからこそ、好きな相手は待ってくれないし、浅い友情はすぐに壊れてしまう。大人になってそう思えるのは、自分が少しでも思い描いた通りに進めているからかもしれない。共感を得たい大人よりも、選択の連続の高校生や大学1年生に読んでほしい一冊だと思った。